2002年06月21日
長編ドキュメント-一人釣り紀行-
先日、丸1日ぽっかり時間が出来たので、一人で釣りに行ってきました。
ホントは前々から某バンドのマネージャーの輝さんという人と一緒に行く約束をしていたんだが、あいにく彼は急に仕事が入ったために、行けなくなってしまったのだ。
うーん、どうしよう。困った。
というのも、僕は釣りに関しては、ほぼ初心者なのである。
これまでに何回か行ったことはあるものの、どれも経験者の方にいろいろやってもらいナガラ教えてもらいナガラだったので、いざ一人で行くとなると、これは実に心細い。
しかしながら、大の男が一人で釣りも出来ない、というのもオトコとは言えないのではないか。
迷った挙句、僕は決めた。よし。行ってやる。見とれよ、デカイのを釣りあげてやるったい、と一念発起し、僕はオトコになるために、「一人で釣り」に行くことを決意した。
さて、用意だ。
竿は以前購入したビギナー用が2本ほどある。これでいいだろう。
前は確かこれでアジやコチが釣れたな。
クーラーボックスは遠い昔にバイト先でもらったトムとジェリーの絵が描いてある奴がある。やや恥ずかしいがやむをえまい。餌や仕掛けは当日の朝から釣具屋に行けばよい。よし、これでOK。
ここで本題。いったい何を釣るか、である。
時期的にいえばアジかキスかな。あー、でも詳しいことはわからんな。
そもそもこの近所にそういう魚が釣れる場所があるのだろうか。
あっ、思い出した。数年前に僕は本を買ったのだ。
ズバリ、「釣り入門」。これを見ればわかるはずだ。なになに、えーっと。
「何が釣れるか、それは同じポイントでも微妙な変化により日によって変わります。近くの釣り具屋で情報を得るのが確実といえるでしょう。」
えーーっ。なにそれ。もっとピシャッとしたアドバイスは無いんかい?
困ったなぁ。なんて聞けばいいんだろう。
「今なにがあたってんの?」
なんて言えばそれっぽく聞こえるだろうか。
うーん、俺の場合、顔が「嘘ついてます」って表情になりそうだな。パス。
それともすべて白状して
「僕初心者でわからないんです。今から一人で行くんです。この辺では何が釣れるんですか?」って聞くか。
いや、これはきっと店員さんからナメられる。ナメられるのだけはイヤだ。
もういい。全部自分のやりたいようにやる。決めた。
かくして僕は午前8時過ぎに出発したのである。
8時半、釣具屋に到着。エサと仕掛けを買う。
早くも、エサをどれを買えばいいか迷う。
でかくて浅い水槽にウヨウヨと色々な種類の生きエサが動き回っている。
その横にウツワとハシがポイ、と置いてある。
なんだこれは。セルフということか。自分ですくえ、ということなのか。
「すいません、エサを・・・」と僕がエサを指さして店員さんにいうと、
「あっ、はいはい『青ゲブ』ですね?。」と店員。
「えっ?ああ、は、はい。」(このとき僕が「当たり前じゃねーか」という顔を精一杯つくったのは言うまでも無い。)
仕掛けも、よくわからんが「安売り!」とかいてあるキス用の48円の奴を5個くらい買った。
さー、何処にいこうかな。(この時点でまだ何処に行くのか決めていない!)
おー、そういえば以前に海を見に行った人気の少ない堤防があったな。よしそこへ行こう。
到着。
この時点で、僕の記憶ではそこは堤防があってすぐ下は海のはずだった。
が、そこはテトラポッドだったのだ。
あちゃー。
でも向こうの方には釣り人も数人見える。まー、しょうがない。人も少ないし、ここで釣ろう。
大嫌いなフナムシがウヨウヨいるなか、僕はビギナー竿2本とトムとジェリーのクーラーボックスを持ち、運動不足のおぼつかない足どりでおそるおそるテトラポッドを渡っていった。
適当な場所を見つけ、竿に仕掛けとエサをつけ、いよいよ開始。
よーっしゃ。でっかいのが釣れる気がしてきた。あー、しまったカメラ持ってくりゃよかったな。釣り上げたデカイ奴を両手に抱えて記念写真にできるのになー、なんてことを考えつつ、いよいよ第一投。
えいやーっ。
ガサッ。
ん、なんだ?
あ゛ーーーーーーーっ。
なんとオモリが引っかかってエサ箱をはじいてしまい、、残りのエサが全てテトラポッドの下へ、奥深くへ落ちていくではないか。
あー、俺の青ゲブがーっっ。
うわーっしかも竿を変な方向に向けちゃったみたいよこれ。
目の前10mくらいのとこで見事にハリがひっかかってるやん。
うわっ全然とれんぞこれ。うそっ、ちょっと待って、今始めたばっかりだぞ、オイ!
っていうかまだ海面にすら届いてねーぞ、オイ!!!
ちくしょーこのやろーっ、エイッ!!
力ずくで引っかかった竿を引っ張ると、見事に「ブツッ」と、まるで僕を嘲笑うかのように糸は切れたのであります。
いきなり第一ラウンドからまるで一人コントのようなトラブル。
正直、オオキリュウイチ、齢28にして少しナキベソをかきそうでした。
がーっしかし!!
動物占いによると黒ヒョウは「逆境になると燃えるタイプ」。
(いつもこういう事態が起こると無理に自分に言い聞かすのであります。)
ここで帰るわけにはいかない。
ここで帰れば某バンドのマネージャー輝さんに笑われるのは必至。
それだけはいやだ。
えーん、ちくしょーっと叫びながら、僕はまたエサを買いに釣具屋に車を飛ばしたのであります。
次回につづく